練馬区大泉町

おかく”の獲物?--大事件とアトム動物病院




“たま子”が家族になり一年ほどの時が過ぎた。私の仕事もやっと軌道に乗り始め、余裕はないものの、このまま、何とか私達の自転車は走り続ける事ができそうだという感触を持ち始めた頃だった。活発な“たま子”は相変わらず元気で外に家に走り回っていた。半日以上も帰ってこないことも普通だった。
 しかし、仕事が立て込んでいたその日、“たま子”は帰ってこなかった。かなりややこしい仕事で、クライアントさんの立ち会いもあり、ほかのことに気を取られている暇は無かったのだ。次の日も、そしてその次の日も帰ってこなかった。“久田”と私は仕事の合間を見つけては家の周り中“たま子”の名前を呼んで歩いた。昼も夜も、いつ帰ってきても中に入れるように電気をつけっぱなしにして。そばに“大工小屋”と呼ばれる雑多な木切れやがらくたが山積みになっているぼろ家があり、野良猫たちのたまり場になっていて、“おかく”も良くそこにいたので日に何度も足を運んだ。“たま子”のことが気掛かりでもかなり神経をすり減らしている“久田”を家に残して、それでも私はロケがあると外にでなくては行けない。一つ、帰りの車でひらめいたことがあった。

「“たま子”は元々冒険好きで、運動神経が発達している。それを見込まれて、今大事件に巻き込まれてしまっているのだ。それもど「でかいスパイ事件」らしい。外国へ高飛びしようとしている悪者を、内閣秘密中央調査局、スパイキャッチャーJ3…かなり古いね。知ってる人は知っている…に依頼されて、後をつけているのだ。絶対に秘密に行わなくてはいけないので家にも連絡をしてこれないのだ。どうも、月ロケットの設計図か何かにからんでいるようで、それを大量破壊兵器に流用しようとしている某国に乗り込んでいるらしい。その基地は衛星軌道上に存在する」なんてまことしやかに“久田”に話して気を紛らわせていた。