Nikon D200

すでに触った方も多いでしょうが、久々に鹿野レポートはNikon D200。

APS-Cサイズにこだわったニコンが作り上げた実販価格20万円を切り、プロ用途として使用できるデジタルカメラが12月18日に発売される。ボディだけでなく、それに必要なデジタル、APS-Cサイズとして必要なレンズまで周到に用意されているところがすごい。
 実感ではカメラとしての機能はさすがにNikon D2X に及ばないが、データとしての、特にピクセル単位の能力はNikon D2X をしのいでいる。その意味でサブカメラといわずに、ある意味メインカメラとしrて活躍するシーンは多く想定されます。
 その実力の一端をこのレポートで感じ取ってもらえれば幸いです。
デジタルデータ比較検証
今回は比較観察するべきところをいくつか特定しました。それは解像感、分光反射特性、ダイナミックレンジ、色彩再現性、長時間露光、高感度特性、それらにまつわるノイズの問題。これらを中心にNikon D2X と比較しながらレポートします。
電塾特性ピクセルチャートによる解像感チェック
ご存知電塾特性ピクセルチャート。これを私の持っているレンズの中で比較的解像感、MTF特性が良ク、周辺のゆがみも少ない35mmF2レンズを使用して撮影した。
 赤でかこってある部分が1ピクセルのon、offになるように注意深く撮影する。これで1ピクセルに値する形にどのような処理を加えているのかを観察するのだ。よく見ると2ピクセルのチャートはほとんど問題がなく、4ピクセルのチャートは全く問題がないことが分かる。これはデジタルデータの特性で、解像したいもっとも細い線にたいして3ピクセル以上が、形であれば4ピクセル以上が当てられていると、その線、あるいは形は何処まで拡大しても大丈夫、ということつながる。
 まずこの現象を大ざっぱに解説しよう。仮にまさしく1ピクセルに値する直線が存在していたとする。この直線が、まさしく垂直、あるいは水平を維持していたとすると、その線は確実に1ピクセるで解像できる。しかし、通常、ぴったり1ピクセルに重なることはなく、2ピクセルにまたがって存在することになる。となると、元の線分が真っ黒な線でも、2ピクセル分に渡って記録されるため、結局グレーの2ピクセル分の線分となる。
 また、少しでも斜めになってしまえば3ピクセルを渡り歩き、さらに薄いグレーとして記録さることになる。これが強い曲線になると、さらに4ピクセルを必要とすることは簡単に分かるだろう。
 ここまでのピクセルを1/4だと仮定し直してみよう。きちんと黒く再現できる部分が2ピクセル以上あり、グレーの部分は両端の1/4、しかもグレーになる値は小さくなっている。そうなると細い線は確実に解像され、拡大使用しても、元々形がはっきりしているから、拡大方法さえ間違わなければ、きれいに拡大できる。
 この実験で分かるように、1ピクセルのon、offチャートを普通に撮影して、まさしく1ピクセルが重なり合うように撮影できるわけではない。3ないしは4ピクセルのところできちんと解像するのが現実だ。
 1ピクセルのチャートで判定したいことは、この、解像不可能な部分にたいして、どのように対応しているか、というところで、各メーカーがしのぎを削っている部分でもある。
Nikon D2X
Nikon D200
左のチャートは赤で囲んである部分が1ピクセル、真ん中が2ピクセル、下が4ピクセルに対応しているチャートを原寸で表示してある。Nikon D2X は解像感にかけてはぴか一の実績があるカメラだ。1ピクセルのピクセルピッチが細かい方が以上の理屈でも分かるように、この場合も本来はピクセルピッチが5.5μのNikon D2Xの方が、7.3μのNikon D200よりも解像感はあるはずだ。
しかしNikon D200は良く検討している。全くといって遜色がない、どころか、1ピクセルチャート二置いては、形が崩れ、モアレの原因になるような部分では見事にグレーに逃げている。ややもすると何とか解像しよう死してしまうNikon D2X の方があり得ない形を作り上げてしまっている部分も見受けられる。
 イメージセンサーの開口部が大きいゆえに、Nikon D2X に比較すると空間周波数の高い部分に対するレスポンスがやや悪くなるかな、という危惧は持っていたのだが、このチャートの仕上がりを見る限り、ほとんど同等といって差し支えなさそうだ。1ピクセルよりも微細な形(7.3μ以下)に対しての反応は見事でこれは二枚クロスさせ、しかも一体になったローパスフィルタの成果だろう。4ピクセル辺りのエッジの処理を見ると、Nikon D2X よりもややハードな仕上がりをしていることがよく分かる。
分光反射特性
Nikon D2X
Nikon D200
 近赤外線による分光反射特性に関してもやはり定評のあるNikon D2X に勝るとも劣らない。このフィルタも熱線吸収のホットミラータイプと染料タイプの二枚を張り合わせ、700nano以上の近赤外成分を見事なグラデーションでカットしており、光源による変化も最大限に押さえている。ここまで近赤外線対策が見事にとられているカメラはニコンではNikon D2X 、Nikon D200だけだ。この意味でもD200はそれ以下のカメラに対して大きなアドバンテージを持っているといえる。
 今回は紫外線カットも施されており、レンズの収差による色の“にじみ”も押さえる設計になった。適度に紫外線を吸収しているお影で、再現する色彩に対する影響をお押さえ、色収差を押さえることができたようだ。
 クロスするローパス、紫外線除去、近赤外線カットのフィルタは全て一枚にまとめられ、光を受けるさいのレスポンスが低下することを押さえている。
 このローパスフィルタが小さくてすむことも、このカメラの価格を押さえる事ができた大きな要因だろう。
ダイナミックレンジ/ハイライト
 Nikon D2X の時は、たった5.5ミクロンの開口部で充分なダイナミックレンジを確保できるのか不安だったが、見事にそれをしてのけたという実績がある。今回はその技術力を持って約6.1ミクロンの開口部を持つことになった。約1200万画素に対して約1000万画素に画素数が減った分、光のパワーは大きくなったといえる。 
 実際、ダイナミックレンジはNikon D2X に比較して、ハイライト側に1/3〜1/2絞り分は広がったように見える。作例は中央に起伏を多く持った白い石膏像、ハイライト側に白いものを置き、シャドウ側に黒く、影を持つ立体を配置、シャドウ側に黒紙を張り、反射を押さえてコントラストが大きくなるようにセットした。もちろん光は向かって左手から片光のライティング。
 全く同じレンズ(50mmF1.8)でそれぞれ撮影してみた。石膏像の向きがやや変化しているのは、途中でぶつかってしまった為で、これは愛嬌として欲しい。画像は小さいが、左端が適性露光で、ハイライトが飛んでいない露出で、真ん中のデータはD2Xではハイライトが飛び出している。しかし、同じ露出でD200はこれも適正半以内に収まっているのだ。右の画像はさすがにオーバーだが、いきなり調子を無くすのではなく、グラデーションになっているのが分かるだろう。Nikon D2X は適性許容範囲が1/3〜2/3絞り程度だが、Nikon D200は確実に1絞り分にまでは適性範囲が広がっている事が分かる。まさしく解像感の200万画素分が、ダイナミックレンジに振り返られたのだといえよう。
 この差はNikon Capture 4.4を使用するとさらに顕著になり、確実に1絞りオーバーだった画像が適性圏内に入り込む。作例は撮影時にオーバー露光してしまったものだが、-2/3段の補正で確実にドレスの白を取り戻す事ができた。RAWデータ使用の醍醐味がまた一つ広がったといえる。
ダイナミックレンジ/シャドウ
 シャドウ側も同じ画像で判定できる。黒い瓶の中の黒い部分はほとんど光が入らないはずだ。しかし、ハイライトが飛ばない限界に押さえ込んだカットでさえ、ある程度の階調情報を維持している。シャドウ側にも1/3絞り近い許容範囲を持てたように思える。ヒストグラムのシャドウのピークの位置に注目して欲しい。もちろんこの2枚の絞り値は同じだ。
もちろんRAWデータからはさらに情報を引き伸ばすことが可能だ。作例はわざとアンダー目に露光したものを追加RAW調整の露出補正を使用して1.3絞りほど明るく補正したもの。この程度ではノイズに悩まされる事もない。
色彩再現性
 モードIIを使用する限り、Nikon D2X と同等の再現力を持つ。というよりも、モードIIはニコンとして全てのカメラで同じ傾向になるようにチューニングされているのだろう。モードI、およびモードIII、特にモードIIIはさらに高彩度な表現に変化したが、高彩度域でのクロップを上手に押さえ込んでいるように見受けられる。派手でも、階調を失いにくいといえばいいのだろう。このあたりはD70 sと比較しても好ましい傾向だ。
 また、このカメラはニコン独特のAD変換前にアナログ状態のデータをバランシングする、という特徴を受け継いでいる。その為、たとえRAWデータであっても事前に正しい(あるいは近似の)ホワイトバランスをとっていれば、相手が蛍光灯であれ、電球光であれ、ノイズの少ない、ノビのあるカラー情報を得ることが可能だ。これをしなかった場合は、特に電球光や蛍光灯光源で最高の結果を得ることができない。作例はAdobeRGBモードIIで撮影後sRGBにプロファイル変換したもの。

近赤外成分がカットし切れていない画像は左のように赤みを帯びて再現されることがある。
長時間露光特性
 いわゆるイメージセンサに蓄積されたノイズ、欠落部分をいかに処理するかという問題だが、ここでも問題はそつなくまとめられている。8秒までは長秒時ノイズ除去をONにしていても、撮影後の待ち時間は発生しないし、特に問題も見当たらない。10秒を越すとノイズキャンセルが始まるが、実撮影時間の半分ほどの時間ですむようになった。このスイッチをonにしたままでも通常は撮影にストレスがかかるような事はないだろう。作例は30秒時のサンプルで、左が長秒時ノイズ除去をONで撮影したもの。よくよく見てみると数ヶ所に補正の跡がある。
高感度特性
ここにあげた画像はNikon D200 Special Live2おいて撮影したものです。このレポートのために特別に許可を得ています。

ダウンロードはできますが、他の目的で流用はできません。

 Nikon D200からISO感度に1600が追加された。今まではhigh1として、感度としては明記されない感度域であったのを、今回明記してきたのはその自信の現れだと思える。 もちろん感度100から400までは充分に美しい再現をする。感度800でも通常の[スナップ]には全く問題がない。階調再現は1600まで見事に充分な再現をしており、high1(3200相当)でやや再現域が狭くなるように思え、エッジも少々あやふやになる…が、これが感度3200相当の絵ならば、文句の付けようがないと思う。ざらつき感は感度800からやや出現し出し、1600〜3200でははっきりと出始める。それにしても シャドウノイズをこれでもかとブラッシュアップしてきた姿勢は評価すべきだが、筆者にはやややりすぎと感じた。
 ちなみに以前に借りていたβ泣タ機の画像を比較に上げるが、私はこれでノイジーとは決して思わないのだ。というよりも、適度にシャドウ部にノイズが乗ることで、質感にもつながっているように思える。ここがスクラッチされすぎてしまうと、質感を付ける為に、わざわざノイズを加えるという作業が必要になってくるのだ。(階調がきちんと再現されていれば、それらを気にする必要はない。つまり、シャドウ部の描写が甘くなる高感度時に起こる問題だと言える)実際に感度1600で撮影した画像は布地のテクスチャーまでを再現しており、とても感度1600の感度とは思えない。これは3200に関しても同じことがいえる。
青の[境界線]で囲まれた画像はクリックすると[ピクセル等倍]の画像に飛ぶ事ができます。
機械としてのカメラ
もちろん、それなりの完成感は持っているが、さすがにここはNikon D2X と同等に比較はできない。金額的にいうと、むしろD70と比較して、ここまでよくなっているのだと言うべきだろう。

視野率約95%、0.94倍の高倍率ファインダー
 Nikon F6で培った技術が生かされたのがこのファインダーだ。視野率がやや小振りとは言え、倍率の大きさに着目して欲しい。じつに明るく見やすいファインダーだ。この辺りはさすがにプロ陽気だといえるだろう。ニコンにとっても最後に残った銀塩ユーザーをデジタルに取り込むべく開発したカメラらしく、それなりの完成感を持っている。

シャッター、その他
 10万回のレリーズテストで高精度、高耐久性を証明したシャッターユニットを搭載。ボディーには、堅牢かつ軽量なマグネシウム合金を採用。お影でミラーショックも抑えられている。高速起動約0.15秒 レリーズタイムラグ約50ms。文句無し。また、接合部をはじめとするボディーの随所にシーリングを行い、極めて高い防滴性能と防塵性能を実現したが、水中カメラではないのでご用心。(けしてそのまま水中に投入してはいけない)背面液晶に広視野角タイプを採用2.5型の大型低温ポリシリコンTFT液晶モニターを採用。これまた実に見やすい。これで明るいところでもみやすくなるともっと良いのだが…。

11点測距
 ワイドレンジになったのはうれしいことだ。測距点が広がり、モデルの顔にピントを合わせることが可能になった。惜しむらくは両サイドもクロスセンサー出あったらもっとうれしいのだが…。それならもう5万円高価でも私は納得する。もっとも来れはセンサーサイズの問題で、今回は見送られたようだ。より小さなクロスセンサーが開発されれば、この希望も叶うかもしれない。

ホールド感
 小さく、手ごろに「重い」。これは重要なことで、ボディにそこそこの重さがなければ高倍率ズームや明るいレンズを付けた時にどうしてもバランスをとれなく、前かがみになってしまう。[スナップ]専用であれば軽さも重要だろうが、仕事に使うカメラであれば、そこそこの重さは必要。562gという重さがベストかどうかは個人差もあるだろうが、、

内蔵ストロボ
 ストロボコマンダー機能を搭載した、内蔵フラッシュ。マスター(主灯)として2グループまでのリモート(補助灯)をワイヤレスで制御するアドバンストワイヤレスライティングに対応する。ガイドナンバーは約12(ISO100・m、20℃)で、18mmレンズの画角をカバー。さらに、多重露出撮影に便利なリピーティング発光や、照射光の効果を事前に確認できるモデリング発光が可能。取材ロケの時などに威力を発揮しそうだ。

バッテリー
 リチウムイオンのリチャージャブルバッテリーを新開発。基本的に今までのD70、D70sとなじだが、まがいもでは動作しない。その為、D70、D70sのバッテリーでは動作しない。(逆は可能)1回の充電で約1800コマの撮影ができるという。バッテリー本体にICを内蔵し、フル充電時に対するバッテリーの残容量(%)、前回の充電からの合計撮影回数、および劣化度を液晶モニターに表示することができる。ただしチャージャーには放電機能がない。D70よりは電気を消費するイメージセンサのため、D70程バッテリーが持つ、ということはなさそうだ。

レンズ
AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18〜200mm F3.5〜5.6G(IF)
 約11倍のズーム域で広角から望遠までをカバーするDXニッコールレンズシリーズ初の高倍率ズームレンズ。実はこれは筆者が作ったレンズなのだ。
 というとおこがましいが、NikonD2Xのインプレッションの時に、特に開放F値は明るい必要がないから、小型の(それもDCレンズで)標準域をカバーする、VRレンズが欲しい。もちろん合焦精度を考えれば超音波モーターで、可能ならワイド側18mmから望遠100mm程度。可能なら180〜200mmまであれば一本でスナップ撮影のほとんどをカバーできる、というものだった。通常は18〜100 mmがあれば問題ないのだが、結婚式などで入場口でかまえている時に、ちょっとだけアップを撮りたいシーンはよくあり、その為にいつも単体の200mmを一本ポケットの中に入れておいたり、サブカメラに付けていたりするのだが、これがズームで解決すると、かなりありがたい。何しろスピード感が違う。サブカメラに明るい標準レンズを付けっぱなしにできるといういいことづくめだ。特に200mm側はどんな明るいレンズよりも、VRが付くか付かないかでその価値は明るい外だけで使用できるレンズと、何処でもしよう可能なレンズという大きなメリットの差があるのだもの。
 このレンズは、私のリクエストそのままに製品化された。もっともあたしだけでなく、多くの方からも同じようなリクエストがあったのだろう。報道やスポーツの世界でも歓迎されるに違いない。もっとも11倍ズームというとんでもない仕様なので、広角側のたる型(というよりも陣笠)、中間から望遠にかけての糸巻きはそれなりにすごい。でもそれを補ってあまりあるものがこのレンズの価値として存在していると思う。
 VRはさらに進化したVRIIにより、約4段分の手ブレ補正効果を発揮し、暗い場所での撮影や望遠撮影時に効果的だ。実際に撮影してみたが、200mm側のアップで1/60でも50%は確実に止っている。購入せずにはいられないレンズだ。

ここにあげた画像はNikon D200 Special Live2おいて撮影したものです。このレポートのために特別に許可を得ています。

ダウンロードはできますが、他の目的で流用はできません。

200mm側でシャッタースピードを1/160から1/60まで変化させながら撮影。1/160ではほとんど手ぶれがなく、1/60では50%は使用可能なデータを取得できていたことに驚いた。
Special Thanks Hiroko Koshino Design Office
ここにあげた画像は日本ファションウィークおいてコシノヒロコ氏のショウを撮影したもので、このレポートのために特別に許可を得ています。

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